「2028年ごろにマイホームを建てたい」
そう考えている方は、住宅ローン控除の新しいルールを早めに確認しておく必要があります。
住宅ローン控除は2030年まで延長されましたが、すべての住宅が同じように控除を受けられるわけではありません。特に2028年以降は、新築住宅の省エネ性能によって、控除を受けられる住宅と受けられない住宅の差がさらに大きくなります。
場合によっては、住宅ローンを組んで新築しても、住宅ローン控除の対象にならない可能性があります。
この記事では、2028年以降の住宅ローン控除について、新築住宅・ZEH水準省エネ住宅・認定住宅・中古住宅の違いを整理しながら、これから家を購入する人が確認すべきポイントを解説します。
2028年から「普通の新築」は住宅ローン控除が0円になる?
最初に結論からお伝えすると、2028年以降に建てる新築住宅が、すべて住宅ローン控除の対象外になるわけではありません。
対象外になるのは、原則として、2028年以降に建築確認を受ける「省エネ基準適合住宅」です。
省エネ基準適合住宅とは、現在の省エネ基準を満たす最低限の性能区分に該当する住宅です。これより性能が高いZEH水準省エネ住宅や長期優良住宅、低炭素住宅は、2028年以降も住宅ローン控除の対象となります。
つまり、正確には次のように理解するとよいでしょう。
2028年以降は、最低限の省エネ基準を満たしただけの新築住宅では、住宅ローン控除を受けられなくなる可能性がある。
なお、2027年末までに建築確認を受けた住宅などについては、2028年以降に入居する場合でも経過措置が設けられています。登記簿上の建築日付が2028年6月30日までの住宅も対象になるため、「2028年に入居したら必ず控除が0円になる」というわけではありません。
住宅ローン控除の適否は、入居日だけでなく、建築確認を受けた時期や建築日、住宅性能によって決まります。
住宅ローン控除は2030年まで延長
住宅ローン控除の適用期限は5年間延長され、2026年1月1日から2030年12月31日までに入居した場合も、一定の条件を満たせば利用できます。
控除率は、住宅ローンの年末残高の0.7%です。新築住宅や一定の既存住宅では、最長13年間にわたって所得税などから控除されます。
ただし、制度が延長された一方で、住宅の省エネ性能による差は大きくなりました。
2026年から2030年までの新築住宅の借入限度額
| 住宅の種類 | 一般世帯 | 子育て世帯・若者夫婦世帯 | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 4,500万円 | 5,000万円 | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 | 3,000万円 | 原則13年 |
| その他の新築住宅 | 対象外 | 対象外 | ― |
省エネ基準適合住宅については、2028年以降に建築確認を受けた場合、原則として対象外になります。2027年末までに建築確認を受けた住宅などの経過措置では、借入限度額2,000万円、控除期間10年です。
住宅ローン控除は「借入限度額がそのまま戻る制度」ではない
ここで注意したいのが、表にある5,000万円や4,500万円は、受け取れる控除額ではないという点です。
これは、控除を計算する際の住宅ローン残高の上限です。
たとえば、子育て世帯が長期優良住宅を購入し、年末のローン残高が5,000万円以上ある場合、1年間の控除額は最大で次のようになります。
5,000万円×0.7%=35万円
単純計算では、13年間で最大455万円です。
一方、省エネ基準適合住宅の経過措置が適用され、借入限度額2,000万円、控除期間10年となる場合の計算上の最大額は140万円です。
両者には、単純計算で315万円もの差があります。
ただし、実際の控除額は、毎年末の住宅ローン残高、住宅の取得価格、本人が納める所得税や住民税などによって変わります。借入限度額が5,000万円だからといって、必ず455万円の控除を受けられるわけではありません。
住宅ローン控除は、支払った税金の範囲内で受ける「税額控除」です。もともとの税負担が少ない場合は、計算上の上限まで使い切れないこともあります。
ZEH水準省エネ住宅とは?
ZEHは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称です。
住宅ローン控除におけるZEH水準省エネ住宅は、原則として次の性能を満たす住宅です。
- 断熱等性能等級5以上
- 一次エネルギー消費量等級6以上
一次エネルギー消費量等級6では、太陽光発電などの再生可能エネルギーを除き、基準となる一次エネルギー消費量から20%以上削減する性能が求められます。
断熱等性能等級とは
断熱等性能等級は、住宅内の熱が外へ逃げにくいか、外の暑さや寒さの影響を受けにくいかを示す指標です。
等級が高いほど、住宅を魔法瓶のように保温しやすくなります。冬の暖房や夏の冷房の効率が上がり、光熱費の削減も期待できます。
省エネ基準適合住宅の目安は等級4、ZEH水準省エネ住宅では等級5以上です。
一次エネルギー消費量等級とは
私たちが住宅で直接使う電気やガスは「二次エネルギー」と呼ばれます。
一方、一次エネルギーは、石油・石炭・天然ガス・太陽光など、自然界から得られるエネルギーを指します。
住宅の省エネ性能を評価する際は、冷暖房、給湯、換気、照明などの設備が消費するエネルギーを一次エネルギーに換算して計算します。
断熱性能だけではなく、給湯器やエアコンなどの設備効率も評価に影響するということです。
長期優良住宅と低炭素住宅は何が違う?
住宅ローン控除では、長期優良住宅と低炭素住宅を「認定住宅」として扱います。
いずれもZEH水準省エネ住宅より借入限度額が高く、新築の子育て世帯・若者夫婦世帯では最大5,000万円が対象になります。
長期優良住宅
長期優良住宅は、長期間にわたって良好な状態で使用できるように設計され、行政の認定を受けた住宅です。
省エネ性能だけでなく、住宅の耐久性、耐震性、維持管理や更新のしやすさ、将来の点検・補修計画なども審査されます。認定を受けるには、建築や維持保全に関する計画を作成し、原則として着工前に所管行政庁へ申請する必要があります。
「子どもや孫の世代まで、手入れをしながら長く住み続けるための住宅」と考えるとわかりやすいでしょう。
低炭素住宅
低炭素住宅は、二酸化炭素の排出を抑えるための措置が講じられ、法律に基づく認定を受けた住宅です。
省エネ性能に加え、低炭素化につながる設備や対策などを組み合わせて認定されます。
なお、低炭素住宅は単純に「エネルギー消費量を一律50%削減した住宅」と定義されるものではありません。複数の認定要件があるため、住宅会社へ「認定低炭素住宅として正式に認定を受けられるのか」を確認することが大切です。
子育て世帯・若者夫婦世帯は借入限度額が上乗せされる
住宅ローン控除では、一定の子育て世帯や若者夫婦世帯に対して、借入限度額の上乗せ措置が設けられています。
対象となるのは、入居した年の12月31日時点で、次のどちらかに該当する世帯です。
- 19歳未満の扶養親族がいる世帯
- 夫婦のどちらかが40歳未満の世帯
たとえば、新築のZEH水準省エネ住宅では、一般世帯の借入限度額が3,500万円であるのに対し、対象世帯は4,500万円です。
長期優良住宅や低炭素住宅では、一般世帯が4,500万円、対象世帯は5,000万円となります。
なお、年齢や子どもの年齢は、住宅の契約時ではなく、原則として入居した年の年末時点で判定されます。
住宅の完成や入居が年をまたぐ場合は、上乗せ措置を受けられるかどうかも事前に確認しておきましょう。
中古住宅の住宅ローン控除は拡充
今回の改正では、新築住宅の省エネ要件が厳しくなる一方で、中古住宅に対する支援は拡充されました。
2026年から2030年までの主な借入限度額は次のとおりです。
| 中古住宅の種類 | 一般世帯 | 子育て世帯・若者夫婦世帯 | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 | 3,000万円 | 13年 |
| その他の中古住宅 | 2,000万円 | 上乗せなし | 10年 |
省エネ基準を満たさない一般的な中古住宅でも、一定の要件を満たせば、借入限度額2,000万円、控除期間10年で住宅ローン控除を利用できます。
2028年以降、省エネ基準適合住宅の新築が原則対象外となっても、同じ性能区分の中古住宅は引き続き対象です。
新築だけに絞らず、高性能な中古住宅やリノベーション済み住宅も比較することで、購入費用と税制優遇のバランスがよくなる可能性があります。
ただし、「リノベーション住宅なら自動的に4,500万円の枠を使える」というわけではありません。住宅の省エネ性能や認定区分、世帯条件などを満たす必要があります。
床面積40平方メートル以上なら対象になる?
住宅ローン控除の床面積要件は、原則として40平方メートル以上に緩和されました。
ただし、床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は、合計所得金額1,000万円以下であることが必要です。
また、子育て世帯・若者夫婦世帯の借入限度額上乗せ措置を利用する場合は、50平方メートル以上が必要となります。合計所得金額が1,000万円を超える人も、原則として50平方メートル以上が必要です。
住宅ローン控除そのものの所得要件は、合計所得金額2,000万円以下です。
「所得1,000万円以下でなければ住宅ローン控除を使えない」という意味ではないため、混同しないようにしましょう。
2028年から災害レッドゾーンの新築住宅は対象外
2028年以降に入居する場合、災害レッドゾーンに新築した住宅は、原則として住宅ローン控除の対象外になります。
対象となる区域には、次のような場所があります。
- 土砂災害特別警戒区域
- 地すべり防止区域
- 急傾斜地崩壊危険区域
- 浸水被害防止区域
- 一定の災害危険区域
ただし、建て替え、既存住宅の購入、リフォームについては対象外措置の例外とされています。
土地を購入する際は、価格や通勤の便利さだけでなく、自治体のハザードマップや区域指定も必ず確認しましょう。
災害リスクは住宅ローン控除だけの問題ではありません。火災保険や地震保険の負担、将来の売却しやすさ、家族の安全にも関係します。
住宅性能を証明する書類も忘れずに
住宅ローン控除でZEH水準省エネ住宅や省エネ基準適合住宅として扱ってもらうためには、その性能を証明する書類が必要です。
2025年4月以降は新築住宅の省エネ基準適合が義務化されていますが、それでも住宅ローン控除の申請では、住宅省エネルギー性能証明書や一定の建設住宅性能評価書などによる証明が必要です。
住宅を契約する前に、住宅会社へ次の点を確認しておきましょう。
- 住宅ローン控除上、どの住宅区分に該当するか
- ZEH水準や長期優良住宅の認定を取得するか
- 性能証明書は誰が、いつ発行するか
- 証明書の費用は住宅価格に含まれているか
- 確定申告に必要な書類を用意してもらえるか
住宅会社の広告に「ZEH仕様」「高断熱住宅」と書かれていても、住宅ローン控除上のZEH水準省エネ住宅として証明できるとは限りません。
「性能が高そう」という印象ではなく、正式な住宅区分と証明書で確認することが重要です。
2028年前後に家を建てる人がやるべき5つのこと
1.住宅ローン控除の区分を契約前に確認する
住宅会社へ「住宅ローン控除では、どの性能区分になりますか」と具体的に質問しましょう。
単に「省エネ住宅です」と確認するだけでは不十分です。
- 省エネ基準適合住宅
- ZEH水準省エネ住宅
- 長期優良住宅
- 低炭素住宅
のどれに該当するのかを確認する必要があります。
2.建築確認の時期を確認する
2028年前後に完成・入居する住宅では、いつ建築確認を受けるかによって経過措置の適用が変わる可能性があります。
入居予定日だけでなく、建築確認の日付や登記簿上の建築日も工程表に入れて管理しましょう。
3.性能向上にかかる追加費用と控除額を比較する
住宅性能を高めれば、住宅ローン控除の借入限度額が増えます。
しかし、設備や断熱材、窓、認定手続きなどの費用も増える可能性があります。
住宅ローン控除の差額だけで判断せず、次の費用をまとめて比較しましょう。
- 建築費の増加
- 住宅ローン控除
- 補助金
- 光熱費
- 修繕費
- 将来の売却価値
控除を受けるためだけに高額な設備を追加すると、かえって総支払額が増えることもあります。
4.住宅ローン控除を前提に借りすぎない
住宅ローン控除は、住宅購入費用の一部を軽減する制度にすぎません。
「控除が受けられるから、あと500万円借りても大丈夫」と考えるのは危険です。
住宅ローンの返済は、教育費が増える時期や収入が減る時期にも続きます。住宅ローン控除が終了した後も無理なく返済できる金額を基準にしましょう。
5.新築と中古住宅を総額で比較する
これからは、新築住宅の性能要件が厳しくなる一方、高性能な中古住宅への支援が手厚くなります。
新築の建物価格だけを見るのではなく、中古住宅の購入費用やリノベーション費用、税制優遇まで含めて比較することが大切です。
まとめ|2028年の住宅ローン控除は「家の性能」と「日付」が重要
2028年以降の住宅ローン控除では、住宅性能による差がこれまで以上に大きくなります。
特に注意したいのは、2028年以降に建築確認を受ける省エネ基準適合住宅が、原則として住宅ローン控除の対象外になることです。
一方で、ZEH水準省エネ住宅や長期優良住宅、低炭素住宅は、2028年以降も控除の対象となります。中古住宅も一定の条件を満たせば、引き続き住宅ローン控除を利用できます。
これから家を購入する人が確認すべきなのは、単に「新築か中古か」「価格はいくらか」だけではありません。
- 住宅ローン控除上の性能区分
- 建築確認を受ける時期
- 入居予定日
- 性能を証明する書類
- 子育て世帯などの上乗せ要件
- 土地の災害リスク
- 控除終了後も返済できる借入額
こうした条件をまとめて確認する必要があります。
住宅ローン控除は大切な制度ですが、控除額を最大化することが家づくりの目的ではありません。
住宅性能、購入価格、毎月の返済額、教育費、老後資金まで含めて、家族が長く安心して暮らせる資金計画を作ることが最も大切です。

※この記事は2026年8月時点の制度に基づいて作成しています。住宅ローン控除の適用条件は個別の状況によって異なるため、実際の購入時には国税庁・国土交通省の最新情報や、税務署、住宅会社、税理士などへご確認ください。
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