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106万円の壁は2026年10月にどう変わる?社会保険と扶養内パートの考え方

この記事は約8分で読めます。

「扶養から外れると手取りが減るなら、働く時間を抑えた方がいい?」

扶養内で働くパート・アルバイトの方にとって、いわゆる「106万円の壁」は働き方を決める大きな目安でした。この106万円という金額に関わる社会保険の賃金要件は、2026年10月に撤廃される予定です。

ただし、2026年8月24日時点で厚生労働省は、施行時期をまだ「予定」と案内しています。また、変わるのは主に月額8.8万円以上という要件であり、週20時間の要件や企業規模要件まで同時になくなるわけではありません

この記事では、正式に決まっている内容と今後の予定を分けながら、扶養内パートの方が働き方をどう考えればよいかを整理します。

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この記事で分かること

  • 106万円の壁をつくっている社会保険の加入要件
  • 2026年10月に変わる予定の内容と、変わらない条件
  • 企業規模要件が縮小される正式なスケジュール
  • 106万円、130万円、税金上の扶養の違い
  • 社会保険へ加入した場合の手取りと保障
  • 扶養内パートが今から確認しておきたいこと

結論:106万円という金額より「週20時間」と勤務先を確認しよう

今回の改正で撤廃される予定なのは、短時間労働者に対する所定内賃金が月額8.8万円以上という賃金要件です。月額8.8万円を年額へ換算した約106万円が、「106万円の壁」と呼ばれてきました。

2026年10月に予定どおり撤廃された場合、当面は主に次の条件が判断のポイントになります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 勤務先が対象となる企業規模である
  • 2カ月を超えて雇用される見込みがある
  • 原則として学生ではない

つまり、「年収を106万円未満にすれば必ず社会保険の扶養に残れる」とは言えなくなります。一方、企業規模要件は段階的に縮小されるため、2026年10月からすべての会社で一斉に同じ扱いになるわけでもありません。

そもそも「106万円の壁」とは

正社員の4分の3以上の所定労働時間・日数で働く人は、会社の規模にかかわらず、原則として健康保険と厚生年金保険の加入対象です。

4分の3未満で働く短時間労働者についても、2026年8月24日時点では、主に次の要件をすべて満たすと加入対象になります。

現在の主な要件 確認する内容
企業規模 厚生年金の被保険者数が51人以上の企業等
労働時間 週の所定労働時間が20時間以上
賃金 所定内賃金が月額8.8万円以上
雇用期間 2カ月を超えて雇用される見込み
学生 原則として学生ではない

ここでいう月額8.8万円は、単純な振込額ではありません。原則として所定内賃金で判定し、賞与、残業代、通勤手当などは賃金要件の判定から除かれます。一方、加入後の標準報酬月額には取扱いが異なる項目もあるため、給与明細の総支給額だけで自己判断しないことが大切です。

現在の加入要件は、日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」で確認できます。

2026年10月に何が変わる予定?

2025年に成立・公布された年金制度改正法では、短時間労働者の賃金要件を、法律の公布日である2025年6月20日から3年以内の政令で定める日に撤廃することになりました。

厚生労働省は、すべての都道府県の最低賃金が時給1,016円を超え、最低賃金以上で週20時間働けば月額8.8万円以上になることを踏まえ、2026年10月に賃金要件を撤廃する予定と案内しています。

ただし、2026年8月24日時点の公式案内は「撤廃予定」という表現です。この記事では2026年10月1日の施行を確定事項として断定せず、実際の資格取得日は勤務先や日本年金機構からの案内で再確認する前提とします。

また、最低賃金の減額特例を受け、週20時間以上でも月額8.8万円未満となる一部の方には例外的な取扱いが案内されています。自分が該当する可能性がある場合は、勤務先へ確認してください。

最新の案内は、厚生労働省「年収の壁への対応」社会保険適用拡大特設サイトで確認できます。

企業規模要件は段階的に縮小される

企業規模要件は2026年10月に一斉撤廃されるのではなく、次のように段階的に対象が広がります。

時期 対象となる企業規模
2027年9月まで 51人以上
2027年10月から 36人以上
2029年10月から 21人以上
2032年10月から 11人以上
2035年10月から 企業規模要件を撤廃

人数は会社全体の単純な従業員数ではなく、原則として厚生年金保険の被保険者数で判断されます。支店単位ではなく企業単位で判定される場合もあるため、勤務先へ確認するのが確実です。

この日程は、厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方・被用者保険の適用拡大」で公表されています。

106万円の壁と130万円の壁は別の制度

106万円と130万円は、どちらも社会保険に関係しますが、判断の仕組みが異なります。

比較 106万円の壁 130万円の壁
主な意味 勤務先の健康保険・厚生年金へ加入する短時間労働者の賃金要件 家族の健康保険の被扶養者になれる収入要件
主な判定 月額8.8万円、週20時間、企業規模など 年間収入見込み、生計維持関係など
今回の改正 月額8.8万円要件を2026年10月に撤廃予定 130万円基準そのものが同時に撤廃されるわけではない

2026年4月1日以降、被扶養者認定の年間収入は、労働条件通知書などに記載された賃金から見込まれる年間収入が130万円未満で、他の収入が見込まれないことなどを基に判断する取扱いが始まっています。詳しい条件は、日本年金機構「労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱い」で確認できます。

ただし、勤務先で健康保険・厚生年金の加入要件を満たせば、年収が130万円未満でも、自分の勤務先の社会保険へ加入します。106万円の賃金要件がなくなっても、130万円の被扶養者基準まで同時になくなるわけではありません

税金上の扶養とも分けて考える

税金上の扶養は、所得税の配偶者控除や配偶者特別控除の話です。健康保険の被扶養者や厚生年金の加入判定とは別制度です。

令和7年分以降、配偶者控除の配偶者側の所得要件は合計所得58万円以下で、給与収入だけなら123万円以下が目安です。123万円を超えると直ちにすべての控除がなくなるわけではなく、本人と配偶者の所得に応じて配偶者特別控除を受けられる場合があります。

税金の基準内でも社会保険へ加入することはありますし、その逆もあります。「税金」「勤務先の社会保険」「家族の健康保険」の3つを別々に確認しましょう。税金上の要件は、国税庁「配偶者控除」で確認できます。

社会保険へ入ると手取りはどうなる?

配偶者の社会保険の扶養に入っていた人が自分の勤務先の社会保険へ加入すると、給与から健康保険料と厚生年金保険料が引かれるため、加入直後の手取りは減ることがあります。

月収11万円の一例

月収11万円で、健康保険と厚生年金の本人負担を合計でおおむね14%前後と仮定すると、負担は月1万5,000円前後、社会保険料控除後は約9万5,000円が一つの目安です。

項目 概算例
月収 110,000円
健康保険・厚生年金の本人負担 約15,000円
社会保険料控除後 約95,000円

これは説明のための一例です。実際の金額は、標準報酬月額、加入する健康保険、都道府県、年齢、介護保険の対象かどうかなどで異なります。さらに雇用保険料、所得税、住民税などが引かれる場合があります。

配偶者の会社に家族手当や配偶者手当がある場合、社会保険の扶養から外れることで手当がなくなる可能性もあります。本人の給与明細だけでなく、世帯全体の手取りで比べましょう。

保険料負担だけではない社会保険加入のメリット

社会保険への加入には、目先の負担増だけでなく、保障が厚くなる面があります。

将来の厚生年金が増える

厚生年金へ加入すると、老齢基礎年金に老齢厚生年金が上乗せされます。加入期間が長く、加入中の報酬が高いほど、原則として将来受け取る厚生年金も増えます。

障害が残った場合の障害厚生年金や、死亡した場合の遺族厚生年金でも、基礎年金に上乗せされる可能性があります。

休業時の所得保障が増える

勤務先の健康保険の被保険者になると、条件を満たした場合に次の給付を受けられます。

  • 傷病手当金:業務外の病気やけがで働けず、給与を受けられない期間の所得を保障
  • 出産手当金:出産のため仕事を休み、給与を受けられない期間の所得を保障

いずれも支給額はおおむね給与の3分の2相当が目安ですが、支給条件と計算方法があります。家族の健康保険の被扶養者には原則としてない、本人加入ならではの保障です。

社会保険加入のメリットは、厚生労働省「社会保険加入のメリット」で確認できます。

扶養内パートは今後どう考える?

「壁の直前で止めるか、超えるか」だけで決めず、次の順番で確認するのがおすすめです。

1. 雇用契約の週所定労働時間を確認する

シフトの実績だけでなく、雇用契約書や労働条件通知書で週20時間以上になっているか確認します。契約上は20時間未満でも、実労働時間が恒常的に20時間以上となる場合は取扱いが変わることがあります。

2. 勤務先の企業規模を確認する

2027年9月までは原則51人以上、2027年10月からは36人以上へ対象が広がります。自分で判断しにくい場合は、人事・給与担当者へ確認しましょう。

3. 世帯全体の収支を比べる

本人の社会保険料だけでなく、配偶者の家族手当、税金、保育料など、世帯の状況によって変わる項目も確認します。

4. 保障と将来の年金も含める

目先の手取りだけでなく、働く時間を増やした収入、将来の厚生年金、傷病手当金や出産手当金まで含めて比べることが大切です

5. 「本当はどのくらい働きたいか」を忘れない

収入の壁だけを基準にすると、希望するキャリアや働き方を狭めてしまうことがあります。家事や育児との両立、体力、今後の働き方を含めて選びましょう。

まとめ

  • 106万円の壁に関わる月額8.8万円の賃金要件は、2026年10月に撤廃予定
  • 2026年8月24日時点の公式表現は「予定」であり、施行前に再確認が必要
  • 週20時間や学生除外などの要件は残る
  • 企業規模要件は2027年10月から段階的に縮小され、2035年10月に撤廃
  • 130万円の壁と税金上の扶養は別の制度
  • 社会保険加入は手取りだけでなく、厚生年金や休業時の保障も含めて考える

今すぐ働き方を決めつける必要はありません。まずは雇用契約、勤務先の企業規模、配偶者の会社の手当を確認し、制度の正式な施行案内が出た段階で世帯全体の収支を比べてみましょう。

イガラシ
イガラシ

「壁を超えないこと」だけを目標にすると、働きたい時間や将来の保障まで狭めてしまうことがあります。目先の手取りに加えて、厚生年金、休業時の給付、配偶者の家族手当まで世帯全体で比べましょう。制度の施行前には、勤務先と加入する健康保険から最新の案内を確認することも大切です。

この記事を書いた人
FPイガラシ

地方で3世帯同居しながら2児を子育て中のパパです。
このブログでは、ファイナンシャルプランナー2級(FP)を活かして子育て中のお金に悩むパパ・ママに役立つ情報や子どもの金融教育に関する情報をお届けします!

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